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「VAIO Prototype Tablet PC」、ソニーストア大阪トークショーレポート(後編)

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・「VAIO Prototype Tablet PC」、ソニーストア大阪トークショーレポート(前編)
の続き。

トークショーが終わると、まさかの「VAIO Prototype Tablet PC」のタッチアンドトライの機会がめぐってきた。

てっきり触らせてもらえいないものと思っていたのに、もうガッツリ触れるし、質問にもたくさん答えてもらえるし、一人持ち時間3分との事だったけれど、SONYクラスタ&VAIOクラスタみんなで一緒に交代交代で触りながら、みんなで質問できたおかげでかなり深い話を聞けたように思う。

今回、この『後編』に書く内容は、ほぼ誰かのために書いているものではなく、自分都合で書いているものなので、正直参考にもならないかもしれないけれど、17年前にVAIOが登場して、Windowsが何物かもわからなかった時からを使い続けて、こんなに久しぶりに心躍るVAIOに巡り会えた興奮も重なって思った事をツラツラと書いてみる。

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● 「VAIO Prototype Tablet PC」の目指す”Performance”

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新たにVAIO㈱となって、新規のモデルとして姿を表した試作モデルの「VAIO Prototype Tablet PC」

最初、webで得られた情報は、VAIO Tap 11を思わせるディスプレイとワイヤレスキーボードとペンの形。それから、えらく高いスペックを搭載していて、後は、国内ではなくてロサンゼルスのAdobe MAXでお披露目するよという。

新しいモデルがついに出てくる!というインパクトはありつつも、VAIO㈱開発陣の意図する想いを知る術はない事もあって、VAIOというPCに期待している人たちにしても、みんなその方向性はバラバラで、VAIO PやVAIO Uのようなモビリティを追求したモデルが欲しい!とか、クラムシェルのVAIO Zを超えるマシンが欲しい!デスクトップが欲しい!と過去のVAIOに照らしあわせて欲求は異なるがために、温度差もあった。

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自分でも、VAIO Zシリーズ、Z90、Z11シリーズ、Z21シリーズと受け継がれてきた”究極のモバイル”という言葉を今でも引きずっていて、その後に出てきたVAIO Pro 13やVAIO Duo13では満たされていない感覚があった。

それはおそらく、当時のVAIO Zが貫いていたモバイルという立ち位置を持ちながら、外部GPUや光学ドライブ、通常電圧版のCPUを含めて、そこまでするのか!?というスタンスに惹かれていたものが、この近年のVAIO(というよりWindows業界)が、どちらかというとある一定のパフォーマンスを発揮できれば使い勝手の良いロングバッテリーへという「Ultrabook」路線にのっかってしまっていたという事もある。

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けれど、この「VAIO Prototype Tablet PC」に載せているCPUは、第4世代”Core Hシリーズ”の4コア/8スレッドで47wというTDPを誇るCPU。内蔵グラフィックも最大Iris Pro

VAIO Pro 13やVAIO Duo13は、TDP 15Wの超低電圧版でもそのパフォーマンスはとても高く、何をしても不満を感じる作業はほとんどない。そこにあえて「VAIO Prototype Tablet PC」には、(TDP 28W/37Wのプロセッサーを飛び越えて)、47WHシリーズを搭載していると考えると、いかに強烈なCPUを積んでいるか?という事がわかる。

現時点でこのHシリーズを搭載しているノートPCを見渡すと、MacBook Proか、一部のカスタマイズゲーミングPCくらいしかない。

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47Wにもなると発熱量も大きくなるのは当然で、もちろんボディが大きければわかるけれど、よくもこの13.3インチよりもさらに一回り小さい12.3インチというフットプリントの小さいボディで、これを排熱する技術を含めてこのサイズにおさめているなと。これが、高密度実装技術のなせるMobilityへの方向性なのだろう。

本体を見回すと、本体の上部はほぼ全てが排熱スロットになっていて、背面の右端にも排熱スロットが確認できる。

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ストレージは、PCI ExpressのハイスピードSSDを採用するというのは、VIAO Pro 13でもすでに搭載されていたので、大きな驚きはないにしても、耳を疑ったのはその搭載量。

メモリーもストレージも容量は非公表だし、そもそもカスタマイズ上で変えられる部分でもあるけれど、話を伺ったところ、「PhotoshopやIllustratorを扱うとメモリーを非常に食ってしまうため、8GB止まりだと少ないので16GBは積めるようにするべきだと思います。ストレージ(PCIe SSD)にもたくさんのデータを保存できるように1TB、くらいは(カスタマイズで)選べるべきですよね。」という事だった。

webブラウズする、オフィスアプリを使う、ネット動画を見る、という一般に多く使う用途ならこれくらいで十分でしょうという考 え方とはまるで違っていて、Windowsでクリエイティブなソフトをいかに快適に使ってもらえるか、最大限のパフォーマンスを発揮できるモンスターPCを目指しているのだという執念がある。

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●タブレットスタイルだからこそのペンを使う快適さを追求。

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そして、「VAIO Prototype Tablet PC」の形は、Android/iOS含めWindowsでもトレンドの”タブレット”スタイルだという事。

 トークショーでもあったように、2012年末のVAIO Duo 11登場のインパクトはとても大きかった。

 ちょうど2年前、OSがWindows 8へと変わって、”タッチ操作”できることが最大のウリになっていて、各メーカーからタブレットスタイルのPCが出てきた。でも、実際には、ただの四角い大きいアイコンを指でタッチするだけのUIと、従来の細かくウィンドウを操作する相反する使い勝手が入り混じって、イマイチその利便性を感じられなかい中、VAIO Duo 11は、ペンをもってグラフィカルに文字や絵を描ける機能を搭載していた。

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・お絵かきが楽しくて楽しくて仕方がない「VAIO Duo 11」

PCで絵や文字を描くというと、ワコムに代表されるように板の上でペンを動かして、それが目の前のディスプレイに反映されるという描く場所と見る場所が違うタブレットというイメージがあったのに、ディスプレイに直接描きこんで、しかもちゃんとまともに絵が描けるという感動。

マウス操作とキーボードという入力デバイスに加えて、紙のノートのように頭に思い描いたものを直感的に、文字として絵として画面に描くということができるようになったのがVAIO Duo 11で、これは本当にすごいことだと思った。

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・VAIO Duo 11でお絵かきが壮絶に便利になる週アスオマケの「ウルトラマウス」!
・「機動戦士ガンダムオンライン」オマケ?のザクコントローラーをVAIO Duo 11の片手デバイスにしてしまえ!

もちろんVAIO Duo 11も使っていると不満点も出てきて、ディスプレイが固定するために思った角度にならないし、見下ろして使おうとするとキーボードが隠れてしまう。そのために閉じた状態でさらに別のキーボードを用意してショートカットを使ったり、多機能マウスにショートカットキーを割り当てたりという使い方をしていた事もあった。

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・手書きの紙のノートのように描けるペンタブレット「VAIO Tap 11」

その後、キーボードが分離するVAIO Tap 11が登場。

キーボード配置を気にせずに使えてまさに快適!ではあったものの、CPUがYシリーズというさらなる超低電圧版という事もあってイラストアプリで絵を描いていると処理が重くなってきて苦しくなる場面も出てきた。

それに、ワイヤレスキーボードとタッチパッドを薄型に特化したせいか入力デバイスとしては快適さが犠牲になっていたり、バッテリー駆動のみのためバッテリーが切れると、本体とドッキングしないと充電ができず、テキスト入力ができなくなるなど、課題を残していた。

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「VAIO Prototype Tablet PC」は、そのVAIO Duo 11とVAIO Tap 11のタブレット としての弱点をこれでもかというほどまでに克服している。

文字、絵を描きたいときに、いかに自由になれるか。

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今回、特許を持つ独自の機構(スプリング、ダンパー、カム)により、自由に角度を片手で変えられるスタンド。

これは、VAIO Tap 21に先に導入されていた技術を、さらにモバイル用にもっと使いやすくしたもの。実際に片手で倒したり起こしたりしても後ろのスタンドは追従してきて、止めた場所でちゃんと固定する。片手にペンを持っていてももう一方の手で自在に角度が変えられる。

しかも一度角度を決めたら、そこでがっちりとホールドするので、そのまま手をのせて描いても本体が後ろに倒れる事もない。

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手をディスプレイの上に載せるほうがもちろん安定して描けるのだけれど、その手の腹が触れるとそこをペンと認識して点々が付いてしまう事がある。それを防ぐために、手の腹の部分に布をひいたり、浮かして描いたりという回避方法を探していた。

ところが、「VAIO Prototype Tablet PC」だと全くと言っていいほどそれが起きない。この理由としては、本体の処理性能が劇的に上がった恩恵がここにもあって、認識率が格段に上がったという事だった。

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さらに、本体右上のボタンを押すことで、ペン以外を認識をカットする事もできる。ピンチイン、ピンチアウトで拡大縮小といった便利な作業はできなくなるものの、完全にペンの軌跡のみを残していくモードで、確実に描きたいという場合とあわせてオンオフを使い分けてほしいと。

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その反対側の左上にあるボタンは、押すと専用のUIを画面に表示させて、そこにショートカットキーを含む動作を組み込んで一連の動作ができる。今までのキーボードのショートカットや多機能マウスのボタンなしでも、本体だけで効率よく作業ができる。

ここのボタンは、イラストアプリに限らず、いろんなシチュエーションでも使えるようにカスタマイズできるようにしていきたいという事だったので、ハードキーのない本体だけにここはさらにキーポイントになるかもしれない。

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今までにペンで描ける便利さがありながら、ストレスに感じていた部分を見事に解消していて、好きな角度に変える、目で見たまま思いのままに描く、修正する、機能を変更する、と何をしても直感的に使えてしまう、しかも何をしても待ち時間が皆無、これは本気で感動に値する。

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本体と同サイズのワイヤレスキーボードは、マグネットで本体とドッキングしてディスプレイ面の保護の役割も兼用というのはVAIO Tap 11と同じ。

重なりあった状態で接続端子が触れる事で、タブレットからキーボードに充電するのも同じだけれど、「VAIO Prototype Tablet PC」のワイヤレスキーボードにはMicro USB端子を装備して単体で充電も給電しても使えるようになっている。

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キーボードとしても、キーストロークが深くなっていて打鍵感はかなり向上していて、タッチパッドもクラムシェルのVAIOノート同様に追従しやすくなってる事など、明らかに入力デバイスとして意識して改良されていた。まだ試作段階なので、これからも改良するとの事だった。

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デジタイザースタイラスペンは、本体の横にガッチリとホールドしてなくさずに一緒に持ち運べるし、このホールドキャップは取り外してしまっても、本体の横に直接スタイラスペンを取り付ける事もできる。

ちょっと移動する時とか、ペン置きとしてもこれなら邪魔にならない。ここまで考えているとは思わなかった。

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● デスクトップの代わりにもなれるかもしれない「VAIO Prototype Tablet PC」

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ディスプレイにも今までのモバイルVAIOにはない大きな変化。

12.3インチというサイズに待望のオーバーフルHDとなる2,560×1,704250DPIにもなる高精細さはウィンドウの作業効率は無論、写真や4K動画をより細かく見ることができる。しかも、16:9から脱却して、デジタル一眼カメラで撮影した画像を全画面で見られるアスペクト比3:2を採用されている事。

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さらに、IPS液晶に、Adobe RGBカバー率は95%以上という色再現性をもったディスプレイは、印刷物との親和性はもちろん一定のクオリティを満たしていれくれれば安心して色調整もできる。

これならもう、デジタル一眼カメラや4K動画の外部モニターにもしたいくらい。

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そして、何よりも不満大爆発中だった入力入力デバイスの充実。

喜ばしいのは、有線LANの復活。近年のモバイル系VAIOはもうWi-Fiでいいでしょうと言わんばかりに、VAIO Duo 13 VAIO Pro 13などですら本体に有線LANをもたず。一般にWi-Fiで十分だけれども、宿泊するホテルによっては有線LANしか備えていなかったり、会社のネットワークに有線で入りたいのに入れないとか、無線パスワードをわざわざ聞かなきゃいけないとか、逆に煩わしかった。

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さらに、Windows8以降のWi-Fiネットワークの不安定さを体験するとそれはなおさらで、原因不明での切断はストレス以外の何物でもないし、そもそも目の前に有線LANがあるなら、高速かつ安定的に使いたい。

 そして、SDカードスロット。しかも高速なUHS-Ⅱに対応していて、これならデジタル一眼カメラで撮影した画像を直接差し込んで、一挙に高速転送して3:2のフル画面で色域の高い高精細な画面でチェックするという事もスムーズ。

Mini DisplayPortと、HDMI 1.4の2つのディスプレイ出力は、どちらも4K(3,840x2,160)解像度の出力までが可能で、2枚のディスプレイに高精細なディスプレイを表示できる。

ちょうどデスクトップ(VAIO typeRmaster)が先日壊れてしまって、その時2枚ディスプレイを使っていた事もあって、これになれると元に戻ることができず、それのかわりになるものを探し求めていただけに、「VAIO Prototype Tablet PC」の2出力は相当に魅力的。

VAIO Z21では、パワーメディアドックと接続することでマルチディスプレイが可能で、まさにデスクトップからの置き換えもできる事もできたまさに変態仕様だった。最近ではVAIO Duo 13のHDMI出力をつかえば4Kの出力は出せるもののディスプレイはあくまでも1枚で2枚編成はできない。

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ノートPCで外部ディスプレイに出力した場合、ノートPC側のディスプレイが小さくて結局作業領域としては使いにくい。しかも、ノートPCにあるキーボードは使いづらくなってしまったり置き場所的にも無駄が多い。

これがタブレットである「VAIO Prototype Tablet PC」ならば、ワイヤレスキーボードを自分の使いやすい手前に持ってくることもできるし、もしくは、ペンタブレットとして直にペンで入力したものがそのままディスプレイに反映するなんて使い方もできるかもしれない。

願わくば、拡張するケーブルは以前にあったドッキングステーションのようなオプションパーツに集約して脱着をシンプルになってくれれば、仕事場でも出先でも「VAIO Prototype Tablet PC」がメインマシンにもなれる。

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おそらく、この「VAIO Prototype Tablet PC」は、金額的にも方向性的にも、決して多くの人に受け入れられるものではないだろう。

限られたレギュレーション(制約)の中で、最大限振りきれる限界のパフォーマンスに特化したPCで、もはやコンセプトカーというよりは、F1カーに近いのかもしれない。

こんなスペックまで必要ないから、もっと軽くて薄いモデルが欲しい。普通のクラムシェルでいいよ。と、自分の欲しているPCとはズレていると感じる人がいるのも当然。

けれど、昨今みられた全体のパイを見て平均的な万人受けするマシンを作ろうとして、結果として魅力の薄いプロダクツであることよりも、こうして、”クリエイター”というある特定のプロフェッショナルな分野の人たちが本気で使いたいと思えるマシン、そこだけに特化したマシンを作ろうとしている。

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今これが欲しいと思っている自分でも、ここまでのスペックはいらないのかもしれないけれど、Windowsで行ういろんな作業において、リミッター(ボトルネック)に触れずに、とても心地よく動いてくれるという事にほかならないし、それが今までにない未だにAndroidやiOSで満足できない領域を埋めてくれる快適さなんだろうと思う。

 他のメーカーが目指さない部分を目指す。

これが商売上としてうまく軌道にのるかはわからないけれど、少なくとも、プロフェッショナルなパフォーマンスを要求しているクリエイターのひとたちに必要とされるVAIOになりうるし、今までVAIOに惚れ込んで使ってきたみんなの心には間違いなく響いている。

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そしてこれはあくまでも”本質+α”を体現した1点であるという事。

この異常なまでの拘りをもってすれば、これから先、例えばMobilityにもっとも振れたありえない変態なマシンがでてくる可能性にも期待できる。

今までの、「VAIOはどうなるんだろう?」という日々悶々としていた時は通りすぎて、これから先、VAIO㈱から何が出てくるのだろうというワクワクを持ってこれからを楽しみにしたい。

・「VAIO Prototype Tablet PC」トークショーに行ってきたけど、ブログ記事間に合わなくて間に合わせの感想だよ。
 ・VAIO製VAIO試作モデル、「VAIO Prototype Tablet PC」がAdobe MAXでついに姿を現す。
「VAIO Prototype Tablet PC」
・パーソナルコンピューターVAIO(VAIO株式会社製)
・発表されたIntelの新CPU“Core M”シリーズのスペックを見ながら、勝手に期待と妄想が膨らむまだ見ぬVAIO。

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